
「 歌などを まるで思わぬ母むきて 寺山修司 語る夕べか 」
■■■母さんの話すことと言ったら
自分の体の話 気分の話 父への不満 そればかりで
聞いていると気が滅入ってしまう
時折 申し訳程度にアタシの近況など尋ねてくるけれど
飽きっぽいのか 本気で訊きたいわけではないのか
いつの間にか 話題が変わってしまっている
今夜もそうだった
「 私も 歌を作ってみたい アンタが 詠むときはどうするの 」
アタシは 尋ねられて嬉しかった
だって アタシに 興味を持ってくれてるって事だもの
「 まず 心に浮かんだ一つの言葉を 大切に温めて 前後を紡いでいくのよ 」
「 ふぅん そう 」
母さんは 気のない返事をして また 父の愚痴を言い始めた
悲しくなったアタシは 無視して歌の話を続けた
「 アタシね 寺山修司が好きなのよ
『 ころがりしカンカン帽を追うごとくふるさとの道駆けて帰らん 』
■■■ こんな歌を詠む人なのよ 」
「 いい歌やね 」
感想は たった6音 ・・・
毎晩 掛ける 母さんへの電話が
虚しくなるアタシ
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「 憎しみが 悪夢のように拡がって 初めて思う “ 死ねばいいのに ” 」
■■■ アタシは 個々の人格が 一番に表れるのは
恋愛における 別れの場面ではないかと思っている
優しい人は できるだけ相手を傷つけまいとするし
意地悪な人は 可能な限り相手を目茶苦茶にしてやろうと
躍起になるのではないか
優しい人は フェイド・アウトするように消えていく
アタシ自身も 恋の幕引きは キレイにしたいと思う方だ
そして アタシには 一人だけ 二度と逢いたくない人が居る
アタシを傷つけるために その人は何でもやった
それだけ想いが強かったのかも
多分 今でも想われ続けているという確信がある
そんなだから 余計に 逢うことは出来ない
All or Nothing な関係
アタシはもう その人を愛していない
そもそも 愛したことなどなかったのかも知れない
二人の間の激烈な温度差
風の便りに 漏れ聞く 互いの消息が唯一の繋がり
果たされなかった約束たち
そのせいで アタシは 自由になれない
ペルセポネーのように
「 落日とつかの間我を誘う河 ミラーに夕月 兎は居るか 」
■■■青空に白い月が浮かんでると
つい アタシの心が そちらに行ってしまうよ
目の前には夕日と 暮れかけた河原の風景
いっそ このまま ハンドル切り損ねて _
マジック・アワー
危険な夕暮れ時
ウサギを探す
それとも 追いかける ?
お月様に住んでるウサギは黒ウサギ
白じゃないんだよ
知らなかったでしょ ?
ミラーに切り取られた月
受け取ってもいいのかと迷うアタシ
「 まだ お月様の時間じゃないから いいんだよ 」
河はそう言うけど _
( とりとめもない思考 早く現実に戻って 用を済まさないと )
Alice across the universe.
店の前を通るたび考える
『 今日は ペット・ショップに寄ってみようか 』
黒いウサギは居ないよ
居ても あの黒ウサギじゃないよ
アンダー・ランドはサイアク
服は泥だらけ
でも お月様は もっとサイアク
冷たくて寒い
静かすぎて耳が痛い

「 切なし と 君が名づけたこの花を今年も手折り 秘やかに挿す 」
■■■雨だ 雨だ 雨だ !!
アタシはジリジリしてる
だって 木犀が散ってしまうじゃない
香りだって消えてしまうじゃない
ずっとずっと遠い昔になったけれど あの人が 「 切ない 」
そう言った香りが消えてしまうじゃない
あの人は 「 うちの庭に 一本だけ木犀の樹があって
夜中に仕事をしてると それが匂ってくるんや
思わず お前がいるような気がして 振り向いてしまうんや 」
そのころ使っていた香水は ニナ・リッチ
“ レール・デュ・タン ”

絡み合う二羽の鳩
“ 時の流れ ” を意味する名前
あれから どのくらいの時間が経ったろう
残酷な時の流れ
< あの人とアタシの距離 : 25万光年 >
木犀の花が咲くと 本格的に アタシの秋が始まる
喪に服すような気分の秋
誰も知らないアタシの恋は 木犀だけが知っています
「 一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております 」
■■■歌人 山崎方代 作