
「 歌などを まるで思わぬ母むきて 寺山修司 語る夕べか 」
■■■母さんの話すことと言ったら
自分の体の話 気分の話 父への不満 そればかりで
聞いていると気が滅入ってしまう
時折 申し訳程度にアタシの近況など尋ねてくるけれど
飽きっぽいのか 本気で訊きたいわけではないのか
いつの間にか 話題が変わってしまっている
今夜もそうだった
「 私も 歌を作ってみたい アンタが 詠むときはどうするの 」
アタシは 尋ねられて嬉しかった
だって アタシに 興味を持ってくれてるって事だもの
「 まず 心に浮かんだ一つの言葉を 大切に温めて 前後を紡いでいくのよ 」
「 ふぅん そう 」
母さんは 気のない返事をして また 父の愚痴を言い始めた
悲しくなったアタシは 無視して歌の話を続けた
「 アタシね 寺山修司が好きなのよ
『 ころがりしカンカン帽を追うごとくふるさとの道駆けて帰らん 』
■■■ こんな歌を詠む人なのよ 」
「 いい歌やね 」
感想は たった6音 ・・・
毎晩 掛ける 母さんへの電話が
虚しくなるアタシ
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