
「 火に焼かれ風が枝折り葉をちぎる倒れぬはただ君宿すゆえ 」
■■■ これを詠んだとき
アタシの心には 次の歌が浮かんでいた
「 一本の樹を世界としそのなかへきみと腕組みゆかんか 夜は 」
■■■寺山修司 作
この歌を 初めて目にしたとき
いつか アタシも こんな風に愛されたいと願った
もはや二人でも一人でもなく
一本の木のように 地に足をつけて
昼は 太陽の下 抱き合うように枝を延ばし
夜は ひっそりと お互いの血の流れに耳を澄ます
そうやって 永い年月を共にし 緩やかに老いを迎える
穏やかだけれど 確実な温かさで
これは ありふれた幸せではないのか ?
アタシは 多くを望み過ぎたのか ?
ありふれていたはずの幸せは
やはり ありふれた事情で壊れてしまった
アタシと 夫の間には
樹木のように 根を張った愛がなかった
今 アタシは 必死で倒れまいとしている
アナタを 胸に宿しているから
それだけの理由で
「 いつの日か取り戻せたらお慰み 駄目でも此処に朽ち果てるだけ 」
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